聴導犬に関わる仕事

その1 聴導犬訓練士

聴導犬に関わる仕事の中で、皆さんが一番に思い浮かべる仕事だと思います。そして、聴導犬訓練士という仕事が、犬の訓練をすることだと、思っていることでしょう。

聴導犬訓練士の仕事は、犬に関わる部分30%、聴覚障がい者やその家族など人に関わる部分が40%、残り30%は、訓練に関する外部との連絡や、未来の訓練士への指導、訓練技術や障がい者に関する知識を取得するための学習、補助犬に関する学会での講演や、訓練士としての講演などになるのです。この状況を見ていただいても分かるように、犬の訓練に関する部分は、全体の30%にしか過ぎないのです。

聴導犬訓練士としての資格制度は、現在ありません。それぞれの協会が、それぞれにシステムに基づいて決定しています。それでは、聴導犬訓練士には、どんなことが必要なのでしょうか。

訓練に関する部分

1.家庭犬をきちんと育て、訓練することが出来る

  聴導犬は、スペシャルな家庭犬となります。そのため、基本になるこの部分の訓練が出来なければならないのです。

2.聴導犬となる犬を育て、訓練することが出来る

  聴導犬の基礎訓練・聴導動作訓練を、候補犬に身に付けさせる。

3.問題行動の矯正

  聴導犬としてユーザーと生活していく中で、問題行動が発生しないとは限りません。その問題行動の原因を見極め、ユーザーに助言すると共に、問題解決へ導いていくための技術が必要です。

4.犬に関することの指導

  聴導犬希望者に対して、犬とのコミュニケーションのとり方や、犬の表現を読み取る方法、聴導犬として社会参加するために必要な公衆衛生や、日常の管理などを指導できる技術が必要です。

5.候補犬導入のための評価

  候補犬導入のために行われるテストで、対象の犬を正しく評価し、導入するかどうか決断するための知識と技術が必要となります。

人に関する部分

1.情報提供

  聴覚障がい者及びその家族に対し、聴導犬の役割や仕事、聴導犬を希望するに当たって、メリットやデメリットなど、きちんと情報提供しなければなりません。そのための知識と技術が必要となるのです。

2.聴覚障がい者の評価

  聴導犬を希望している聴覚障がい者を評価し、コミュニケーション能力や生活能力、聴導犬をコントロールするための能力などを評価できること。この評価が、正しく行われなければ、候補犬と希望者のマッチングや合同訓練に失敗し、希望者や候補犬、聴導犬になってからユーザーが苦労するなど、問題が発生してしまいます。

3.コミュニケーション

聴覚障がい者とのコミュニケーションに、手話が用いられることがあります。そのため、ある程度の手話ができることが必要となります。相談・面談時や、合同訓練時に内容を正確に伝えるためには、相手のコミュニケーションに合わせて行わなければなりません。

以上のように、聴導犬訓練士になるためには、犬の訓練以外にも、聴覚障がい者に関する様々な知識や、コミュニケーションをとるために必要な手話などの技術も身につけていなければならないのです。そのため、1・2年の勉強だけでは無理なのです。そして、「あんな犬を育てたい」という憧れだけではなく、聴覚障がい者側から、聴導犬のことを考えていける気持ちを持っていなければならないのです。

その2 聴導犬の広報

聴導犬の認知度は、まだまだ低いのが現状です。そのため、聴導犬に関わる仕事の中で、訓練と同様に重要な役割を持っています。イベント会場でのPRや各種取材への対応、学校でおこなわれる総合学習の講義など、様々な場面で内容や対象年齢に合わせたPRをすることになります。

この仕事は、主に3つの内容に分かれ、様々な知識と技術が必要となります。

一つ目は、PR犬を訓練すること。実働する聴導犬は、24時間体制の訓練になりますが、PR犬の場合はどんな場所でも、どんな環境でも、聴導犬の仕事を見せるための訓練が必要になります。短時間の作業となりますが、環境が変わっても、見ている人に分かりやすく動かすようにするためには、聴導犬とは、また違った訓練と、訓練技術を持って行わなければならないのです。

二つ目は、聴導犬に関することを講演及び説明すること。広報の目的は、聴導犬のことを社会一般に知ってもらうことです。講演や実演では、PR犬とデモンストレーションを行いながら、聴導犬に関する訓練や役割、仕事、法律などについて、たくさんの人の前で話しをします。そして、話しをするために必要な知識を持っていなければならないのです。

三つ目は、ボランティアの取りまとめです。協会には、PR活動に参加してくださるボランティアが居ます。お手伝いをしてくれるボランティアに、イベントの連絡をしたり、イベント会場でスムーズに動けるように指示をしたりしていきます。

このように、聴導犬の広報活動をする仕事は、PR犬の訓練をしながら広報活動をし、活動がスムーズに行われるようにボランティアの取りまとめをしているのです。

その3 事務及びその他の仕事

「縁の下の力持ち」と言う言葉が、ピッタリ当てはまるのが事務の仕事です。協会の運営や、協会に多数寄せられる質問、パンフレットや資料の送付、実演・講演依頼などの日程調整、候補犬やPR犬に必要な書類の作成など、様々な仕事があります。また、近年では助成金の申請をするための企画の構成や、書類の作成なども行っていますので、事務仕事も増える一方なのです。

このように、聴導犬に関わる仕事は訓練するだけではなく、広報活動を行う部署や協会の運営などに関わる仕事なども含まれてくるのです。